2023年12月27日

IRC TANKEN GEKKOTA

IRC TANKEN GEKOTA

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MOTOのハードエンデューロやクロスカントリーで使用されているガミーコンパウンド”GEKKOTA”を採用したエンデューロ用タイヤ
転がりの軽さよりも走破性重点のいわゆるハイグリップタイヤ

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カットモデル
写真上がスタンダード、下がGEKOTA
スタンダードTANKENとの違いはコンパウンドの他にサイドケーシングに耐リム打ち防止ベルトPRS(PINCH FLAT RESISTANT SYSTEM)が追加されています。重量は同一サイズで比較した際GEKOTAは12%前後増加

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テスト車両はSPECIALIZED LEVO Expert(M)

外観は90〜00年代のMTBブームを体験したオジサンには懐かしいラストサイド

今回使用したのは29×2.6(前後) 重量は1,245g 

空気圧は前後20PSI(1.37BAR)に設定

チューブレスで使用(シーラント100cc)インサート無し。

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FOX 36FLOAT PERFORMANCE ELITE + 36/38MUDGUARDに装着してクリアランスは一番狭いところで10mmないくらい(リム内幅30mm)
この組み合わせてジャンプやドロップなどのフォークが大きくボトムするような場面だとフォークのたわみとタイヤの変形でフェンダーにノブが接触してブリブリって音がします。気にしなければ良いですが精神衛生上はあまり良くないかも。これなら2.3でよかったかな?

スタンダードTANKENの時は2.3は数字のわりに太い、2.6は数字の割に細い、と言われていたけれども今回は数字なりに太く感じます。

ちなみにスイッチ前のタイヤは下記の通り

前:SPECIALIZED BUTCHER GRID TRAIL T9 29x2.3
後:SPECIALIZED ELIMINATOR GRID TRAIL T7 29x2.3

過去に1年間ほどスタンダードTANKENを使用していたので、その時のことも思い出しつつ評価したいと思います。

舗装路のアプローチは想像以上に路面に張り付く
想像通り転がりの軽さは感じないがそこはモーターの力で押し切る。
砂粒や小石、落ち葉なんかを巻き上げるのでマッドガードの裏に当たっていつもカリカリと騒々しい。

ダウンヒル性能は申し分なし
ブロック高めなので落ち葉が敷き詰められたようなルーズオーバーな路面でも硬い層までしっかり刺さってグリップします。
サイドノブはやや高めですがバイクを倒しこんでいった時の感触はニュートラル。特に引っ掛かりもなくストレスなく倒しこめます。コンパウンドのおかげか、ケーシングのおかげかブロック配列のおかげか、どれが作用しているかは不明ですがスタンダードTANKENの時も特に癖は感じなかったのでこのタイヤの基本性能でしょうか。
ブレーキもしっかり効きます。路面に食らいつくので後ろ荷重が極端だったりするとチャタリングが起きやすいかも知れません。
今回はタイヤが抜けるほど攻め込まなかったしチャタリングが発生するほどのハードブレーキングもしませんでしたが限界はかなり高そうです。
ロック(岩)やルーツ(根っこ)セクションでのグリップは本当に良いです。安心して突っ込める。

グリップ力はMAXXISのやSCHWALBEのグラビティ系のタイヤに相当するんじゃないでしょうか。
触った感じ3cMAXGRIPやULTRASOFTのような柔らかく芯がある感じではなく全体が柔らかい感じ。センター、サイド、ベースレイヤーでコンパウンドを使い分けている感じではなく一種類で決まっている感じ。そのおかげかハイグリップだけでなく微振動も吸収する、振動の減衰性能にも優れているように感じました。
一番近い印象はKENDAのSTICK-E、MAXXISの40aでしょうか。STICK-E、すごく好きだったんですよね個人的に。

あとケーシングが硬すぎず柔らかすぎないのも良いです。空気圧の設定をどの辺に持ってくるかによりますが極端に下げずとも乗り心地の良さを感じます。
主に中低速のトレイルで使用したのでハイスピードセクションでの性能は未知数。春になって岩岳や富士見のMTBパークがオープンしたらあらためて試してみたいところ。
まだおろしたばかりなのである程度使用した時のゴムの減り方や硬化の仕方については引き続き観察していきたいと思います。
これだけハイグリップだとブレーキ性能やフォーク剛性もそれに見合うものが必要だと思うので軽量バイクには不向き。
クロスカントリー△
トレイル〇
エンデューロ◎

1万円を切る価格でこれだけの性能のタイヤをリリースしてきたのはかなり優秀といっていいのではないでしょうか
チューブレスタイヤのパイオニアたるIRCだけあって着脱も容易。ビードも一発で上がりますし空気もしっかり保持します。

外観のラストサイドについては、これは是であり非
若い世代には新鮮に、ベテランには懐かしく映り遠めに見ても一目でIRCと認識できるのはいいでしょう。
ただ、一般的な黒サイドにしておいてくれた方が、スタンダードTANKENとミックスして使うことが容易だったりするわけで、バイクとのマッチングを考慮するとやはり減点
正直ペダルバイクでトレイルユースだとちょっと重くてだるいので前GEKKOTA、後スタンダードなんて組み合わせにもしたいわけですよ。あるいは前GEKOTA、後GEOCLAWみたいな
外観を無視すればもちろん可能ですが無視したくないじゃないですか、外観。

最後に海外のレビューサイト風にまとめてみると

Good
・外国産タイヤにも比肩する十分なグリップ
・強化されたケーシングはちょうどいい塩梅
・安定した空気保持
・着脱が容易
・コストに優れる

Not Good
・個性的な外観
・他社のハイグリップタイヤと比較してやっぱりちょっと転がりが悪い。漕ぎが重い。

しばらく使用しつつ観察しながら加筆していこうかなと思います。
(12/28一部加筆)

(1/26加筆)
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ほかの人と一緒に走ると気づくことは多いですね。
転がり、思っていたよりもう一つ重かったです。
それなりに目方のある私がジープロードの緩やかな下りをペダルを止めて流して走る際、他のライダーから詰められる、もしくは離されることはほとんどないのですが、このタイヤだとちょっと追いつかない。追いつかれる。同じハイグリップ系のタイヤでもASSEGAI 3C MAX GRIPやMAGICMARRY ULTRASOFTはもう少し転がります。
ただ、やっぱりグリップはめちゃくちゃいいです。ロックやルーツでも気にすることなくゴリゴリ突っ込めますし、キャンバー気味な斜面を下るとき雑にバイク倒してもサイドノブがしっかり食って滑り出す気配すらありません(ちょっと大げさ)
登坂の時のトラクションも素晴らしくパワーさえあればどんな急勾配でも張り付いて登っていきそうな感じで、根っこや岩の乗り越えもスリップせずモリっと担ぎ上げるんですよ。つまりeMTBとの相性がとてもいい。

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雪が降ったので雪中ライドも試してみました。
ハードエンデューロで使われているだけあってウェットにもとても強い。カチコチに冷えてもグリップは損なわれません。
そして撥水の良さ。
雪中ライドはContinentalのblack Chili compoundが最高だと言って憚りませんしそれは今でも変わりませんが、このTANKEN GEKOTAもかなりいい線行ってます。雪と相性悪いタイヤは新雪転がすとモッコモコの雪だるまになってタイヤ回転しなくなるんですが、しっかり雪がキレてます。


約一ヶ月ほど使ってみてタイヤチェックしてみたところ、後輪に若干の摩耗が確認されました。
思ったより早い、というか思っていた通り、というか…
しっかり使ったらすぐにボウズになりそうです。
ただこれベースレイヤーがあってその上に低反発ゴムがのっかっているタイプではなく、丸ごと低反発ゴムのノブなので減ってベースレイヤーが露出してグリップが落ちるなんてことはなくしっかりとグリップしそうではあります。紫外線など外的要因による硬化は避けられないだろうからタイヤがフレッシュなうちにさっさと使い切るが吉、とまぁこれはどんなタイヤにも言えることですが。

posted by オガワサイクル 店主 at 23:03| Comment(0) | 日記
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